Velazquena以降の30年間でもわずかな数しか出ていない。とはいえ,マドリードの王(1) Varia Velazqueiia, Homenaje a Velazquez en el III centenario de su muerte 1660-1960, 2 vols., Madrid, 1960. Velazquez y lo velazqueiio, catalogo de la exposici6n, Madrid, 1960. (2) C. Garrido Perez, Velazquez, tecnica y evoluci6n, Museo del Prado, 1992. (3) J. Brown and J. H. Elliott, A Palace for a King. The Buen Retiro and the Court of Philip IV, Yale University Press, 1980. S. N. Orso, Philip IV and the Decoration of the Alcazar of Madrid, Princeton, 1986. (4) S. Alpers, The Decoration of the Torre de la Parada, Brussels, 1971. (6) J. Mateos, Origen y dignidad de la caza, Madrid, 1634 (1928). であった。フェリペ四世の狩猟の師で狩猟隊長ファン・マテオスはその著作『狩猟の起源と誇り』(6)の中で,狩猟にはダヴィデやヘラクレス,アレキサンダー大王以来の伝統があり,そこで大自然を学び,馬の制御や恐怖を克服し,血を見,武具を操り,兵法や戦略を実践する場と説いている。狩猟塔の装飾の正確な復元と装飾意図の解明をめぐっては,1666年,すなわちフェリペ四世の死に際しての狩猟塔の美術品台帳があればと惜しまれる。今回の調査研究でも関係機関でその所在を追求したが,突き止めることができなかった。第二の研究テーマの,ベラスケスの蒐集になる古代美術品の特定については,多数の図版を掲げる必要があり,いずれ機会を改めて論文として報告する予定である。最後に第三のテーマだが,ベラスケスの生涯や作品に関する新資料の発掘は,Varia宮古文書総局ArchivoGeneral del Palacio Real de Madridに保管される十七世紀王室関係の古資料は,廷臣ベラスケスが生きたフェリペ四世の王室と宮廷社会に直かに向かい合うことができる。管理部門Secci6nAdministrativaの宿泊,美術,狩猟,勅令,会計,医師,催し,埋葬,宗教儀式,家具,公室会議,王室管理などの各書類を通してベラスケスの時代の日常が浮かび上がる(資料1)。これら古文書総局で複写した資料をもとに,今後は第二回イタリア旅行の帰国時期の確定や,作品への意味づけを行なっていきたい。(5) V. Carducho, Dia.logos de la Pintura, Madrid, 1633. _ 68 -
元のページ ../index.html#92