鹿島美術研究 年報第11号
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研一名(3) 美術に関する国際交流の援助(1) 外国人研究者招致ノーマン・プライソン(Norman Bryson) ハーバード大学美術史学科教授モネー・ヒックマン(Money Hicman) アントニーノ・ディ・ヴィタ(Antonino di Vita) 国立イタリア考古学院院長氏究者所属・職名辻惟雄ボストン美術館研究員I(国闘本文化研究センター教授)ジュゼッピーナ・チェッルッリ・イレッリ(イタリア文化会館館長)申請者目的・期間鈴木杜幾子(明治学院大学教授)千野香織(学習院大学助教授)フランス近代美術を中心テーマに据え,めざましい活動によって欧米の美術史を一新している感のあるノーマン・プライソン氏の仕事に関する関心は,日本美術史研究者の間では極めて高い。その理由は,氏の方法が西洋の個別的な問題を扱いながらも広く応用可能であり,また現代の思想状況を先鋭的に反映した記号的発想に裏づけられているためである。氏自身も,日本で開催されたシンポジウムにおいて発表を行うなど,日本・東洋美術に対する関心を深めている。その意味で氏と日本の美術史研究者との見解の交換は,双方にとって有益なものである。ヒックマン氏は,永年ボストン美術館にあって,日本近世絵画,特に曾我爾白や浮世絵の研究で多大の貢献をして来た。氏は最近,蒲白の師である高田敬輔や敬輔と同時期に活躍した画僧古潤の画業に関心を抱いている。今回の招致は,日本にある敬輔の作品を実地調査するためのものであり,氏の学問的才能と実績からみて効果が約束出来る。ディ・ヴィタ教授は地中海域のギリシャ・ローマ美術史の世界的権威であり,クレタ島のゴルティーナやリビアのサプラータの発掘を主宰しているばかりでなく,在アテネ・イタリア考古学院院長として若手考古学者の指導を長I120 年にわたって行っている。この分野の研究は,日本においても近年急速に発達しているため,氏を招致し,講演会・研究会などを通じてその研究を伝えてもらう。(1993年11月7日〜11月22日)(1993年6月)援助額(万円)-8 -79 15

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