゜そして筆者の展望の中ではく形と意味の創造的継承〉の問題は,ギリシア神話の語vヽ更に全国美術館会議の「保存ワーキンググループ」に参加を求められ,活動内容を検討している。修復保存の実践的な技術や理論を持たず,全国の美術館を代表して活動するには,あまりに無謀な素人の集団である。活動に大きな障害となる,膨大な労力を要する活動テーマを掲げず,まずそれぞれが属する館の体制,自已の立場から身辺の問題を解決するのが先決であろう。単なる美術館の担当者で終わらず,将来の美術館作りに明確なイメージを持って周辺環境から整備し,学術的なレベルまで持っていくのに役立てられるものと信じる。⑧ 古代ギリシア絵画におけるアルゴスの三つの神話ーAndromeda,lo, Amymone-研究者:東京大学文学部助手羽田康一「アンドロメダーとペルセウス」「イーオーとアルゴス」「アミューモーネーとポセイドーン」を繋ぐ重要な要素の一つは,三つの神話がすべてアルゴスという土地と深い関わりを有していることである。本研究の標題はこの考えを先取りしたものであり,アルゴス神話の中から任意に三つを選んで論じよう,というのとはいささか異なる。従って標題は『古典古代美術における形と意味の創造的継承』と言い換えてもより技法の歴史に包摂される。すなわち特にアルカイック期に顕著な展開を見たく語りと暗示〉の技法,クラシック期に大規模に繰り広げられたく神話・アレゴリア・歴史の重層的表現構想〉,およびどの時代にも漁ることなく追求された<複数の神話の組合せ〉による神話理解の深化一纏めて言えばギリシア神話を繰る複層的思考(或は図像プログラム)の歴史において,<形と意味の創造的継承〉は重要な意味を担っている。そうした考えを提出することが意図されている。⑨ 学習と創造一狩野元信の場合一研究者:京都造形芸術大学芸術学部助教授並木誠本申請課題は,申請者が近年清涼寺蔵釈迦堂縁起や個人蔵酒飯論絵巻を対象に進めている狩野元信による絵巻物制作に関する研究のひとつのまとめの段階として位置付-42 -
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