ってもよく,このことは,いわば,タイムカプセルの中に,絵画がその制作の状況を示す解説を伴なって保管されてきたかの如き貴重なものである。従って,この研究を綿密に行なうことで,江戸時代後期の美術状況を読みとる格好の資料を提出することができるものと思われる。⑯ 日本におけるアメリカ美術の受容(1945-1965年)研究者:広島市現代美術館学芸員出原戦後のアメリカ美術の受容は,日本の現代美術の流れを大きく転換させたものであり,その意味において,戦後の日本の現代美術の重要な問題のひとつである。本研究は,その経緯を詳らかにし,論じることによって,最終的には,戦後の日本の美術の枠組み,特徴等について,美術史的探求をおこなうことを目的としている。現代美術は,いまだ美術史に組みこまれているとはいいがたい。すでに50年近い歴史をもつにもかかわらず,それらについての論考は,作家やグループに対する評論等が主であり,基礎資料の整理,データの関連づけをふまえた上での歴史的な視点からの論考は十分なされているとはいいがたいように思われる。現代美術も,つねに歴史に組みこまれることによって,解釈をほどこされ,新しい問題を提起しうるものであり,美術史に位置づけることは,強く求められていることである。本研究は,ささやかながら,現代美術をひとつのテーマのもとに美術史として論を展開しようとする試みである。とくに,影聾関係,受容の問題は,近代以前の美術史においては,基本的な問題であり,また様々に論じられてきたが,現代美術においては,作品間の関係程度にとどまっており,文化的,杜会的広がりをもって論じられているとはいいがたい。本研究では,この点を考慮しながら論を展開していくつもりである。⑰ 日中共同による「新彊トルファン・アスターナ古墳出土の染織品(4-8世紀)の研究」研究者:(財)古代オリエント博物館研究貝横張和子ほか3名当申請者は,東西文化交流の見事な結実であり,又,上代染織の源流を探る上でも62 均
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