る。高級陶器であった。西洋絵画を意匠として器面中央に配し,花丼文や唐草文などで余白を埋めている。そこに見られる異様な密度は,南蛮漆器の意匠に通じるものであり,むしろ京都の陶エ(絵つけ師)が意識して,19世紀前期に輸入されたヨーロッパ製のプリント皿のように「西洋」風に加飾しようと意図している状況がうかがえる。しかし,やはりそれはどう見ても日本人の想った西洋なのである。先述の輸出用の漆器にも,そしてこの京阿蘭陀にも同様に複雑な東西の美意識の混在が読みとれるわけで,そこにこそ報告に値する美術史的問題が含まれているのであ-26 -
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