る中国・朝鮮の仏像•仏画を確認し,それを通じて青柳正規・選考委員の選考理由説明:① 武田和昭:「瀬戸内海沿岸に所在する中国・朝鮮半島の仏像•仏画の研究」岸70余ヶ所の寺院を調査した。その結果仏像18点,仏画50点(67幅)の遺品を確認したが,その多くは今回新たに所在が確認されたものである。報告ではそれらの遺品がもたらされた地域の特性と時代背景の考察に及び,また特に重要な遺品として朝鮮三国時代の仏像2件,新羅統一時代の仏像1件(いずれも香川・六万寺),わが国の中世涅槃画の展開に大きな影響を与えたと見られる南宋時代の八相涅槃図(大阪・叡福寺)説話性の強い珍しい図様の宋末元初の地蔵十五図(大阪・弘川寺),李王朝に関係する銘文を持つ李朝仏画(広島・宝樹院他)を取り上げて,それぞれの意義を論じている。武田氏の地道な,かつ精力的な調査活動は,注目すべき成果を挙げており,所期の研究目標の達成に大きな意義をもつものと認められる。伝播する主要なコースの一つである,北九州から瀬戸内海を通過し,難波に至るルートに沿って遺存す古代以来の文物交流の具体的様相の解明に資せんとするものである。村誌などを博捜し,関連する記載がある瀬戸内海沿この研究は,武田氏が中国や朝鮮半島から仏教がその方法として当該地域に関する地誌類や各市町_ 18 -
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