ているのは重要である。文献史料の薄層及び作品の調査の上から,禅宗肖像彫刻の実態に迫った着実な研究であり,それに基づいた禅宗肖像彫刻を,美術史的に位置付ける上での注目すべき提言をしたものとして高く評価される」。以上でございます。(4) 第12回研究発表会(今回から研究報告会の名称を研究発表会に変更)本年度の研究発表会は,1996年5月14日鹿島KIビル大会議室において,上記の第3回鹿島美術財団賞授賞式,1996年度助成金贈呈式に引き続いて,財団賞受賞者2名と,それに次ぐ優れた研究成果を挙げた東京大学大学院博士課程・漆紅氏と近畿大学専任講師・峙川順子氏の計4名の研究者から次の要旨の発表が行なわれ,約100名が聴講した。研究発表者の発表要旨:① 「誕生仏の一形式について一一荊州大名寺伝優填王像に関する一つの記事をめぐって―(右手の形式を中心に釈迦誕生説話の変容の一形式を探る)」発表者:東京大学大学院美術史学専門分野博士課程七歩。挙手而言。天上天下。唯我為諄。(略)有龍王兄弟。(略)左雨温水。右雨冷泉。繹梵摩持。◎ 誕生仏の三つの形式① 灌水形:両手を垂らして竜王の灌水を受けるポーズ。② 師子吼形A形式:右手を,肘を曲げて肩口まで挙げるポーズ。ー.題について:去年の報告書(以下「報告書」と省略する)の構成,趣旨と本日発表との関連1.報告書及び本日の発表で取り扱うもの資料1:西域三蔵竺大力,康孟詳訳『修行本起経』-17 -(197年)〔菩薩降身品第二〕:於是能仁菩薩。化乗白象。来就母胎。(略)十月已満。太子身成。到四月七日。夫人出遊。(略)明星出時。夫人攀樹枝。便従右脇生堕地。行漆紅
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