0三重県新大仏寺叡聰像一幅3その他〇東大寺〇称名寺(金沢文庫保管)南山,大智律師像,各一幅〇東京室泉寺以上二十九点を数える。その他,西大寺流の真言律宗の寺院には叡腺などの祖師像が伝わっている可能性が高い。平田氏の研究以来,ほとんど研究の対象にならなかった,これらの肖像群を確認,調査し,基礎的な資料を整備したい。近年中世史の研究が盛んになると共に,仏教史の分野では,禅宗成立史の見直しや,国家仏教から中世仏教への転換期である鎌倉仏教の時代に関する研究が進んでいる。個別分野の研究が充実する一方で,従来の縦割りの宗派史観や,新仏教,旧仏教という枠組みにとらわれない視点も松尾剛次氏などにより提示されている。こうした状況の中で,律宗祖師像の研究は,美術史的には,肖像画の問題と関わるが,古代とくらべてあまり注目されない南都の中世における宗教活動を,戒律復興運動を通して明らかにするためにも必要な研究であると思われる。又,律宗祖師像との比較により,これまでほとんど手の付けられていない,禅宗の頂相の図像的研究も可能になると思われる。⑫ 中国風俗画における遊宴の図像についての研究研究者:大和文華館学芸部部貝板倉聖哲中国絵画に描かれた遊宴の図像は,日本絵画においても,中世以来盛んに描かれた「琴棋書画図」,近世初期に大きく開花した風俗画の内「琴棋書画」の枠組をとりこんだ「邸内遊楽図」などに非常に大きな影聾を与えており,日本美術史研究にとっても重要な存在である。文人達の集まりを描いた文会図や雅集図は,現在その典拠が不明となりあいまいな題が冠されているものも少なくないが,その中には祖型や枠組が明確で実制作年代よりはるかに潮って指摘できる例も多い。例えば,「琴棋書画図」と一括される絵画群も,南山律師像,大智律師像,清涼律師像,圭峯大師像円照上人像凝然上人像,普一国師像各一幅叡尊像二幅,忍性像一幅,審海上人像二幅,伝湛容和尚像一幅叡尊像一幅45
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