鹿島美術研究 年報第17号
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によって,不開催のロダン・デッサン展の実態を知る手掛かりが見出せる。以上のような書簡および資料などを調査し,そこに記された具体的意味を正確に紐解くことにより,ロダンと日本との関係を新しい視座から捉え直す必要がある。また,こうした資料を公開することにより,今後日本の研究者がロダンと日本について調査する際の一助とすることを目的とするのである。④ 初期唐三彩陶器の研究研究者:専修大学文学部教授亀井明徳唐三彩は,唐代を代表する陶器として広く知られ,その華麗な色彩は,モノクロームのおおい唐代陶姿器のなかで,ひときわ異彩をはなっている。対象となる作品もおおく,すでに先学によって種々の研究成果があるが,最近の資料の増加によって,新たな問題が検討されている。それは,次の2点に要約できる。① 出現時期の問題唐三彩陶器は,7世紀末から8世紀前半の盛唐期の墳墓の出土例がおおく,盛行時期が,この期間にあることは確実である。しかし,作品を子細に観察すると,様式的に遡上するとみられる一群の存在が確かめられる。それらが,盛唐はじめ,ないし初唐のいつごろに位置づけられるのか,それらの作品に共通する特徴とは何か,この―項が第一の研究目的である。② 窯址別の作品の相違唐三彩陶器は,華北の少なくとも5箇所の窯址が確認されており,それらは共通する特徴と,異なる部分をもっているとみられる。しかし,その点の研究が進んでおらず,唐代の中原の墳墓から発見される作品の窯址を明らかにし,唐三彩陶器の流れを明らかにすることが,第二の研究目的である。この2点をあわせて,この陶器の理解を深めていきたい。⑤ 狩野永敬の研究研究者:兵庫県立歴史博物館学芸員五十嵐公一狩野永敬に関する情報収集,これがこの調査研究の第一の目的である。永敬に関す-37 -

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