鹿島美術研究 年報第21号
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⑱ (戦前・中)日本政府主管の展覧会入選作における朝鮮イメージ在の内蒙古自治区、吉林省、黒龍江省、遼寧省、北京市、河北省・山西省北部などで金属器・陶磁器・染織をはじめとした副葬品が豊富で、貴重な紀年資料を含む保存状態も良好な陵墓が、数多く発見されるという見過ごせない事実がある。このように遼墓から出土する陶磁器は遼国内で焼成された陶磁と五代・北宋の製品とが混在しているため、遼代陶磁研究の意義は、五代・北宋の陶磁様相をあきらかにするうえでも重要である。そして、遼国内で生産された陶磁器の年代や性質を知るためには、まず両者を分別することが必要となる。またこの研究の価値としては、いまだ研究のない遼三彩の器種、とくに洗と呼ばれている盤、円形もしくは稜花形の盤が積み重ねられた隔などを取り上げることで資料としての利用価値がきわめて大きい。研究者:同志社大学大学院博士課程単位修得満期退学本研究_(戦前・中)日本政府主管の展覧会入選作における朝鮮イメージーーは、大まかに次のような側面にその意義をおいている。①日本国内と植民地に設けられていた日本政府主管の美術展覧会_官展ーーカ又植民地政策を行う上でどのようなメカニズムを持っていたのか、②植民者側が主催する展覧会という「場」を通じて、その展示作品の中で、被植民者側がどのように表象され、また、それらのイメージが作品を見る側「鑑賞者」にどのような働きを促した可能性があったのかを分析・検証することである。そのような分析・検証を通して、植民美術_「植民」という行為に関わるあらゆる視覚イメージ_の性格を一層明らかなものにすることにある。本研究におけるその構想と現在までの進行は次の通りである。①官展の全時期を通しての入選作における朝鮮イメージは、民族的出自を問わず170点を上回っている。②そのうち、日本人画家の入選作における朝鮮イメージは、その全体がほぽ朝鮮の当世風俗であった。③風俗作品の中で、それらを主題別_男・女・男女・子ども_に、かつ「労働/非労働」に分け、その時期別変化を追うことで、次の三つの時期別変化と、各時期を特徴付ける三つの異なったイメージが現れていることを究明した。同志社大学大学院文学研究科研究生朴-76-

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