② サン・ミリャン・デ・ラ・コゴーリャ修道院スクリプトリウム研究研究者:早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程久米順サン・ミリャン・デ・ラ・コゴーリャ修道院は、10世紀から近隣諸国の庇護を受けて発展し、現在に至るまで存続する大修道院である。30冊ほどが現存するベアトゥスのうち、10世紀から12世紀に制作されたとみられる3冊(通称〈マドリード本》《コゴーリャ本》《エル・エスコリアル本》が同スクリプトリウムと結びつけられてきたことからも明らかなように、コゴーリャはモサラベ写本からロマネスク写本への移行期に非常に重要な役割を果たしたと思われる。そこで現存するコゴーリャ由来の挿絵入り写本の精度の高いデータベースを作成し、ベアトゥス写本の図像生成・様式研究といった今後の写本研究の基盤を築くことが本研究の第一の目的である。その上で特に重要な以下の写本については個別研究を行う。1.《コーデックス・エミリアネンシス》(ElEscorial, Biblioteca del Monasterio, Cod. 的図像を含む(ただし正確な挿絵数等不明)。この写本はコゴーリャに隣接していたアルベルダ修道院(現存せず)で制作された《コーデックス・アルベルデンシス》るが、現在までに入手できた図版を見る限りでは異なる図像も少なくない。両写本の比較によって、当時のスクリプトリウム間交流の様相の一端が明らかとなろう。典礼用写本。文字・挿絵ともに旧来のモサラベ様式を色濃くとどめながらも、11世紀から新しくイベリア半島に流入した傾向(カロリング文字・ロマネスク美術)を顕著に示しており、モサラベからロマネスクヘといたる過渡期の作例として重要である。③ 家綱政権をめぐる画事_武家文化と狩野派__ー研究者:日本学術振興会特別研究員(PD)門脇むつみ本研究の目的は、(1)従来あまり検証のない家綱政権をめぐる武家の画事の実態を明らかにし、(2)江戸時代の美術上注目すべきその意義を、狩野派の活動を中心に示すことである。d.I. 1、976-994年にコゴーリャで制作):公会議録他雑多なテキストと多数の非宗教(El Escorial, Biblioteca del Monasterio, Cod. d.I. 2、976年完成)の直接のコピーとされ2.〈リベル・コミクス》(Madrid,Real Academia de la Historia, Cod.22、1073年頃): -32 _
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