⑬ 18世紀フランスにおいて刊行されたプシュケ神話の挿絵本研究研究者:日本大学大学院芸術学研究科博士後期課程修了(芸術学博士)修士論文(1999年提出)では、18世紀末期のフランス絵画・彫刻作品におけるプシュケ図像の展開について論じた。特に、フランソワ・ジェラールの同主題の絵画ェラール自身が下絵を描いた挿絵との関わりについて新知見を述べた。1999年5月、この研究成果の一部を美術史学会全国大会で口頭発表し、2002年3月発行の『美術史』誌上に論文を発表した。2001年4月に渡英。ロンドン・ウォーバーグ研究所に研究生として在籍。約4ヶ月間、同研究所や大英博物館版画・素描室を中心に調査を行った。同年8月より渡仏。リヨン第二大学博士準備課程(DEA)に在籍し、パリ館、リヨン市立図書館を中心に2002年7月まで現地で研究した。帰国後の2002年10月、日本大学に学位請求論文を提出し、その第二章で「18世紀後半期に刊行された挿絵本によるプシュケ図像」について論じた。具体的には以下のような進捗状況である。を収集、修士論文で発表した。また2001年の第二回現地調査においてさらに広く図像を収集し、その結果を改訂増補版として博士論文で発表した。未公開の同時代資料も含めた作品の先行研究史を完成した。絵画と4点の挿絵を、構図の面から比較し、ラ・フォンテーヌの物語のテクストを詳細に調査することによって、ジェラールの同作品に新たな文学的着想源を指摘した。ランス国立図書館の所蔵目録等から、18世紀後半期に刊行されたプシュケ神話の挿絵本をリストアップし主要なものについて作品記述を行い、目録化した。(1798年のサロン)に着目して、1797年にデイド社より刊行された挿絵本のためにジ1) 18世紀フランスの美術作品におけるプシュケ図像の展開1998年の現地調査にて、ウォーバーグ研究所等で幅広くプシュケ図像の写真資料等2)フランソワ・ジェラール《プシュケとアモル》に関する研究3) 18世紀後半期に刊行されたプシュケ挿絵本の研究18世紀の挿絵本刊行についての先行研究をまとめた。ついで、古典文献の書誌、フ安室可奈子-71 -
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