20世紀前半の米国(東海岸を中心に)における浮世絵、近代版画展の情報を把 展示作品について内容を明らかにし、美術的、技術的、情報的等、米国側にど―41――1920〜30年代を中心に―研 究 者:総合研究大学院大学 文化科学研究科 博士後期課程現在、数多くの浮世絵や近代の版画が所蔵されているにもかかわらず、米国におけるその受容や影響は、シルベスター・モース、アーネスト・フェノロサらのお雇い外国人ら、最近ではウィリアム・ビゲロー、フランク・ロイド・ライトらによる収集について、一部研究や展覧会などでようやく認知されはじめた段階にある。本調査研究はこのような現状をふまえ、20世紀前半のアメリカ合衆国における浮世絵と、明治時代後期より制作された伝統的技法による近代木版画の受容と流通について明らかにする。本調査研究によって、従来のヨーロッパ中心ですすめられてきたジャポニスムの研究が米国においても展開できる。また開戦前まで続いていた日米の美術を通した関係、浮世絵への評価の高まりが与えた日本の近現代美術への影響について考察を行なう。よって美術史、交流史、そのほか文化史、メディア史等の今後の研究課題にも寄与するべく基礎情報の充実を目指すこととする。2009年3月に完成予定の博士論文では、海外とくに米国の日本美術、浮世絵、近代版画の受容に対し、それに応酬した日本側、なかでも作品の制作者、仲介をした画商らの人びとの動向について論じる。国家間の政治情況などの条件下、必ずしも制作者の意図のみによって制作されてはいない作品や、その結果なされた日本イメージの伝達について記述を行なう。本調査研究は博士論文の基礎データの集積部分にあたる。具体的には以下の項目の達成を目的とする。握し、内容や経緯など実態を明らかにする。のような価値があったのか考察を展開する。小 山 周 子⑫ 米国における浮世絵、近代版画を通した日本理解について
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