―61―>イヴ・タンギーにおけるジョルジョ・デ・キリコの影響に関する研究③ 現行までに調査が完了している在外作品を、①の資料と照合する。④①から③の研究で明らかになった明治前期から中期にかけての漆工品、漆工界の動向は江戸から明治にかけて漆工芸に生じた様式変化の一端を明らかにすることができると考える。本研究の価値万国博覧会関係資料、内国勧業博覧会関係資料、各種博覧会資料、博覧会関係アルバムなどは国会図書館、東京国立博物館等で閲覧可能な図書である。にもかかわらずそこに記載されている漆工関連の記事は今まで殆ど利用されてこなかった。それらの資料を収集、精査、検討することにより、現在明らかではない明治期漆工芸様式の一端を明らかにできる。収集した資料から得た研究成果を美術館刊行の紀要など印刷物として刊行することにより、今後研究者がこれらの資料を自由に利用できる機会を提供することができる。本研究の意義研究が未着手といっても過言ではない明治期の日本漆工についての文献、及び作品についての基礎資料を作成することは、今後の漆工芸のみならず、近代美術、工芸研究に極めて有意義なことと考える。―無意味という観点から―研 究 者:早稲田大学大学院 文学研究科 博士後期課程 長 尾 天本研究は、美術史におけるシュルレアリスムという問題を考えるための試みの一つである。シュルレアリスム自体、あるいはその代表的画家については、既に膨大な研究がなされてきている。しかし、美術史という領域において、シュルレアリスムを如何にその固有の意義において捉えるかという問題は未解決である。シュルレアリスムのイメージは形態あるいは形式という観点のみでは捉えられず、故に具象から抽象へと推移するモダニズム的発展史観に位置づけることができない。そこで記号という観点が導入されることになる。シュルレアリスムの実践とは、記号に対するある種の操作として捉えられる。だからこそ、シュルレアリスムの文学実践と造形実践は同じ平
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