―71―瀟湘八景図の受容・日韓中世山水図掛軸の役割を中心にリュシアン・ピサロとエラニー・プレス (『鹿島美術研究年報』第13号別冊、1996年)。それによれば、現在日本国内外に所蔵140点にのぼる。研 究 者:京都大学大学院 文学研究科 博士後期課程 呉 永 三瀟湘八景図に対する調査研究はすでに池田寿子氏によって行われたことがあるされている瀟湘八景図は断片や関連作を含め、南宋や朝鮮前期、室町時代にかけて申請者はこの作品に加えて現在韓国に所蔵されている朝鮮前期の瀟湘八景図断片や関連作の賛者・画風・編年・背景などを直間接的な方法を通して確認した上、共有される藍本の性格に従っていくつかのグループに分けて考察しようとする。それから、当時日本と韓国に舶来されたり、制作されたりして、様々な形で瀟湘八景図の制作(特に、構図や構成面において)に関わったとみなされる山水図掛軸を中心に調査を行う。申請者の最終的な目的は瀟湘八景図に対する研究を通して、中世絵画から近世絵画への転換、詩画一律という文人画論の拡散、中国絵画に対する総合的受容と拒否、一つの国際的絵画ジャンルの成立という意義以外にも、日本と韓国絵画史における所謂、和様化や朝鮮化という問題を理解することである。非常に広範囲で複雑な問題であると同時に、比較研究を必要とする分野でもある。このような見地から、本調査研究の目的をまず瀟湘八景図の和様化と朝鮮化という問題に限定し、特にその受容期における実際の制作とかかわる藍本の性格を比較考察したい。前述したように、この過程で非常に重要な役割を担ったものが当時の山水図掛軸であり、その画面構成と屏風形式との関係を比較検討し、両国の瀟湘八景図における画面形式上の特徴を理解したい。―十九世紀末の出版物と挿絵に関する総合的研究―研 究 者:京都造形大学 非常勤講師龍谷大学 非常勤講師 石 谷 治 寛リュシアン・ピサロは父とともに設立したエラニー・プレスで、一九世紀初頭の小
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