研究発表者の発表要旨 1.ポスターがニューメディアだった頃 ―1920年代日本の広告美術・『単化』式デザインの登場― 発表者:神戸大学 メディア文化研究センター 研究員 大阪市立大学 非常勤講師 竹 内 幸 絵② 2010年助成金贈呈式③ 研究発表会また、優秀者の萬屋健司さんは、2008年日本でも展覧会が開催され、注目を集めたヴィルヘルム・ハマスホイについて、丹念な現地調査によって新知見を導き出したことが評価される。 (文責:小佐野重利委員) 2010年助成金贈呈式は、第17回鹿島美術財団賞授賞式に引き続いて行われ、選考委員を代表して、高階秀爾・大原美術館長から、2010年1月25日開催の助成者選考委員会における選考経過について説明があった後、岡本専務理事より助成金が贈呈された。 本年度の研究発表会は5月19日鹿島KIビル大会議室において第17回鹿島美術財団授賞式ならびに2010年「美術に関する調査研究」助成者への助成金贈呈式に引き続いて、財団賞受賞者とそれに次ぐ優秀者である計4名の研究者により次の要旨の発表が行われた。1921年、日本人のポスターへの価値観は大きく揺るがされた。この年に行われた二つの「大戦ポスター展」が来場者に衝撃を与え、ポスターの持つ強い表現力、情報力への開眼がもたらされたのである。まだテレビCMもなく雑誌広告も多色刷りが非常にまれという状況下で、新しい表現を備えた多色・大判のポスターから人々がうけた刺激が、今日の私たちがポスターから受けるそれとは全く異質なものであったことは容易に想像できよう。ポスターは正に「ニューメディア」だったのだ。これを契機に日― 17 ―
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