よる変化等が判明するため詳細な比較研究を進めたい。さらに女神像と天部像や世俗的な女性の装束とを比較することで、相違点・共通点を明確にして、実際に女神像の装束が何をもとにしていたのかを考察する。そしてその歴史的背景についても考慮し、女神像の成立を考えていきたい。以上に挙げた骨子に沿い考察することで、女神像の装束の概念をはっきりさせ、服制から女神像成立を考察する道筋をつくることを研究の目的とする。研 究 者:東京文化財研究所 研究員 皿 井 舞本研究は、京都・賀茂別雷神社に注目し、かつてそこで展開していた神仏習合のありようを、具体的な遺品に即しながら明らかにしようとするものである。日本の宗教において、仏と神とは同じ空間のなかで祀られ、礼拝されるものであった。こうした仏と神とのありようは、近世以前には一般的であったにもかかわらず、近代の神仏分離と廃仏毀釈により失われてしまった。神社から流出した仏教遺品の多くは散逸し、たとえ現存していたとしても、それらが背負ってきたさまざまな歴史は忘れさられてしまっている。散逸した仏教遺品の情報を収集し、未調査の作品調査を行う。そして、こうした遺品に関する歴史の断片を、関連史料から掘り起こすという、地道だが基礎的な作業を、ここでは重視したい。本研究は、美術史学の基礎資料を増やすことに資するばかりでなく、神仏習合のまとまった資料群をも作成することにつながるものである。日本宗教史のなかで大きな問題の一つである神仏習合の展開を考えるためにも、本研究が重要な資料を提供することになることは疑いないと思われる。研 究 者:山梨県立美術館 学芸員 和 田 佐知子本研究では1910年代から1940年代の約40年間に焦点を当て、モーリス・ドニが設立した宗教画塾の活動とその作例について調査を行いたい。「美しきイコンのナビ」と― 53 ―㉙ 賀茂別雷神社における神仏習合の展開に関する基礎的調査研究㉚ モーリス・ドニの宗教画塾と20世紀フランスにおける宗教美術
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