注⑴ 《泉》登場時の言説と1960年代以降の批評の差異について分析し、泉の性的な含意について言及した初期の論文としてはWilliam A. Camfield, “'Marcel Duchamp’s Fountain: Its History and Aesthetics in the Context of 1917” in Marcel Duchamp: Artist of the Century, Rudolf E. Kuenzli and Francis M. Naumann (ed.), Cambridge, Mass.: MIT Press, 1989, pp. 64−94.⑵ Amelia Jones, Irrational Modernism: A Neurasthenic History of New York Dada, Cambridge, Mass.: MIT ⑶ オブジェの概念や定義に関するものとしてはRosalind Krauss, “The Object Caught by the Heel” in Making Mischief: Dada Invades New York, Francis M. Naumann with Beth Venn (ed.), New York: Whitney Museum of American Art, 1996, pp. 248−51.; Janine Mileaf, Please Touch: Dada & Surrealist Objects After the Readymade, Hanover, N. H.: Dartmouth College Press : University Press of New England, c2010.⑷ Barbara Zabel, “The Constructed Self: Gender and Portraiture in Machine-Age America” in Women in Dada: Essays on Sex, Gender, and Identity, Naomi Sawelson-Gorse (ed), Cambridge, Mass: MIT Press, c1998, pp. 23−47.⑸ アンドレ・ブルトン「オブジェの危機」滝口修造・巖谷國士監修、粟津則雄・巖谷國士・大岡信・松浦寿輝・宮川淳訳『シュルレアリスムと絵画』(人文書院、1997年)、308−315頁。原著は1936年に発表。Press, 2004.けるオブジェ」の問題について考察を進める際にも一助となると考える。研 究 者:大和文華館 学芸部 部員 植 松 瑞 希明代に江南地方で盛んに制作された実景山水図の考察にあたっては、実際の景観とどう一致するかという関心に加え、画家の創造性はどのような形で発揮されているのかが重要な問題になるが、その際に有効な切り口となるのが、文化的背景である。例えば、蘇州や南京における、出生地を称揚する地方意識の高まりを背景にした実景山水図制作については、石守謙「『雨餘春樹』與明代中期蘇州之送別図」(『中央研究院歴史語言研究所集刊』64−2、1993年)を始めとして、15〜17世紀の作品に対する研究の蓄積があり、一定の成果が上がっていると言える。非日常の空間への旅もまた、実景山水図の性質を考える上で有効な文化的背景となる。旅游文化については、巫仁恕・Imma Di Biase『游道─明清旅遊文化』(三民書局、2010年)に代表されるように、近年、多角的な視点での研究が進んでおり、旅游文化の生み出した游記や旅游詩、紀游山水図、各種出版物、器具や、それらを介した文人㉛ 明代の旅游文化と実景山水図 ─張宏筆「越中真景図冊」を中心に─
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