•ニューヨーク 近代美術館(MoMA)、グッゲンハイム美術館アジア部門•シドニー NSW州立美術館、シドニー大学、及びジョン・クラーク教授研き、日本の現代美術の概念、分類体系を二言語領域の比較研究の視点から見つめ直し、そこに間文化的研究の可能性を求める。また本研究で提示される日本現代美術言説の「地勢図」は、間文化的な日本の現代美術の概念、分類体系を俯瞰する機会を与えると考えている。この手法から文化本質主義に頼ることのない現代美術研究、及び世界化する現代美術研究の萌芽的可能性を拓くことが出来ると考えている。調査研究の構想申請期間の研究内容は、戦後から1960年代までの日英二言語領域の日本現代美術批評の比較分析、論説を中心とする。具体的には、次の3つの研究作業から構成される。① 1950年代から1960年代までの英文での日本現代美術批評特に、米国を中心とする欧米における日本現代美術の展覧会図録、批評文を中心に分析し、その概念の形成と類別体系の軌跡を辿る。特に、前衛書道を「日本的な」抽象画と捉え発展してきたその独特な過程に焦点を当て、「日本の伝統文化」が日本現代美術の概念形成に与えてきた影響を考察する。また、それと文化政治的意図との関連性を考察。具体的には、国際的日本現代美術展の走りとされる1958年に開催された『Nipponism』展(ボストン現代美術研究所)、同年の『Contemporary Japanese art』展(ニューサウスウェールズ[NSW]州立美術館、シドニー他)、1966年の『New Japanese Painting & Sculpture』(MoMA)、及び同年より始まるジャパンアートフェスティバルに関する、またそれ以後1960年代末までの英語圏で行われた日本現代美術展に関する特に入手困難な文献資料の調査、収集を以下の機関の資料室、図書館で行う。•ボストン ボストン現代美術研究所、ハーバード大学ライシャワー日本研究究室 ② 戦後から1960年代までの日本語での日本現代美術批評元来多様で包括的であった戦後美術、及び前衛美術が西洋の現代美術と接点を持ち変化しながら、新たな理念、概念形成、分類体系を作り出した系譜を把握。本研究では1955年の「第1回具体美術展」、1958年の「九州派」展、1965年の「世界・今日の美術」展等に代表される美術の動向に注目しつつ、同時に書、版画、デザイン等を含所
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