一断面を解明できるだろう。日本の介入によって復興された伝統技術や職人意識が今日の韓国でどのように生かされ、また新たな生命を得ているのか。朝鮮近代工芸の中に日本人の「モノ」に対する感受性(感覚)がどのような形で残されているのか、なお、「和(日本)風」「洋風」「韓(朝鮮)風」など異なる文化の混在する今日、「工芸」は果たしてどのような未来を期待されうるのか、等々の問題を分析・検証する。その中で日韓の歴史認識のズレを解く一つの糸口として、さらには「工芸」を介した東アジアにおける新たな関係が模索できると考える。研 究 者:早稲田大学大学院 文学研究科 博士後期課程 玉 井 貴 子目的本研究の目的はアルフレッド・スティーグリッツ・コレクションの中でもフィラデルフィア美術館のコレクションに焦点を当て、オキーフとの関連を研究することである。これまでの本コレクションに関する言説はスティーグリッツが作品をどのように収集していったのか、いわばコレクションが寄贈される前の部分が注目されてきた。これに対し寄贈後についても考察を広げたのが、2011−12年にメトロポリタン美術館で開かれた「スティーグリッツとアーティストたち:マティスからオキーフまで」展である。本展は同館に所蔵されているスティーグリッツ・コレクション約400点(写真は除く)をテーマとした展覧会であったが、展覧会カタログでは詳細な作品の目録情報が掲載されるとともに寄贈に関するオキーフの手紙が引用されるなど、寄贈活動に関する重要な情報も掲載されていた。とはいえ本展はメトロポリタン美術館が考察の中心となっており、全コレクションに関わるオキーフの寄贈方針や各機関のコレクションの内容など、全体像の理解には十分な内容とはなっていない。全体像の理解は各機関のコレクションの研究を進めてゆく上で基礎情報として不可欠なものである。そこで本研究ではまずコレクションの概要を把握するため、一連の分割・寄贈活動の初期の資料を検討する。調査対象となる資料はオキーフがコレクションについて語った記事や寄贈を告知したプレス・リリース、関係者の書簡、寄贈作品を撮影した写真な㉞ ジョージア・オキーフとアルフレッド・スティーグリッツ・コレクション研究
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