■ ■■■■研究 ■関■■■■■■に■■る■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■に■る■■画に関する研究研 究 者:京都工芸繊維大学 美術工芸資料館 特任専門職(学芸員) 本調査研究の目的は、洋画家としてのイメージが強い霜鳥之彦の図案研究者としての側面を掘り下げ、海外での経験に基づくその図案観や活動の実態に迫ることで、これまで検証されることのなかった関西デザイン界における位置付けをおこなうことである。霜鳥のアメリカ自然史博物館での勤務やフランスでの図案学研究など海外での経験に基づく知見やその図案に対する考え方、京都高等工芸学校図案科における彼の図案教育者としての視点や産業界における各種審査員や顧問としての活動は、これまで大正・昭和期のデザイン史研究のなかでしばしば取り沙汰されてきたものの、具体的な活動をあきらかにするには至らなかった。しかし、欧米の影響を受けて、生活様式や産業形態が変化する大正期から昭和初期は、デザインの概念が確立し、商業美術の考え方が定着してくる日本デザイン史にとって重要な時期であり、この時期に京都の高等教育機関や産業界でさまざまな図案指導や審査をおこない、スポークスマンとしても機能した霜鳥の活動を知ることはきわめて重要である。また、政府が主導し、東京美術学校や東京高等工業学校、東京高等工芸学校の活動を基盤に、理論化が早くから進められた東京に比べ、産業界が大きな役割を果たした関西デザイン界の活動の実態は、あきらかになっていない部分が多い。霜鳥の図案研究者としての活動が具体的に語られることによって、その全体を把握することも可能となる。今後、この霜鳥之彦研究が進めば、東京と京都、あるいは関西のデザイン界との情報共有の実態やそのあり方の違いなどもあきらかになり、日本近代デザイン史をより具体的に語ることが可能になると思われる。研 究 者:東京藝術大学大学院 美術研究科 博士後期課程 伊 藤 里 華■意義・価値和 田 積 希― 102 ―
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