鹿島美術研究様 年報第40号(2022)
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■ ■■■■■■■■■■美術■■に■る■■表■■研究■■■■■■■関■■■■に■研 究 者:沖縄県立芸術大学大学院 芸術文化学研究科 博士後期課程  近代の日蓮主義者らによる古代表象という問題を明らかにするうえで、田中智学による神武天皇の神格化に注目し、彼がどのように神武天皇を神格化していったのかを、彼自身が執筆したテクストの分析を通じて明らかにする。また、田中智学と交流のあった作家として、竹内久一と植中直齋に注目し、彼らがどのように日蓮主義者と関わっていったのか、その実態をテクストから分析するとともに、久一の≪神武天皇立像≫と直齋の≪如意珠≫などの作品分析を通じて、彼らがどのように神武天皇と神功皇后を表象したのかを明らかにする。本研究は、以下のような構成を考えている。題名「竹内久一と植中直齋の美術作品にみる古代表象の研究―田中智学との関係を中心に―」 1 田中智学の神武天皇観 2 近代における神武天皇像の展開 3 竹内久一の≪神武天皇立像≫  3−1 1890年(明治23)以前における竹内久一の活動  3−2 ≪神武天皇立像≫の分析  3−3 日蓮主義者らによる≪神武天皇立像≫の受容 4 植中直齋の≪如意珠≫  4−1 「如意珠」という主題  4−2 描かれた古墳時代の出土遺物近代における神武天皇の表象という問題を取り上げた先行研究として、2002年に明治美術学会編『近代画説』11号に掲載された千葉慶による論文「近代神武天皇像の形成―明治天皇=神武天皇のシンボリズム」や、及川智早が2017年に出版した『日本神話はいかに描かれてきたか、近代国家が求めたイメージ』(新潮社発行)、竹内久一を取り上げた先行研究として吉田千鶴子「竹内久一レポート―岡倉天心の彫刻振興策と久一」(『東京藝術大学美術学部紀要』16号、東京藝術大学、1981年)、田中純一長 嶺 勝 磨― 35 ―

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