■ 20■■■■■■■■■■■■■■■■■■■に■■る■■■■■■■■■■■■■■■■■■■(■■■■■■■■■)■■■■■■に■が多い。たとえば、現存するもののほとんどについて、その彩色を施した版画彩色師が特定できていない。その理由は、版画彩色師の様式研究と、関連する古文書史料の研究が不十分なためであるが、そうした研究課題は多くの研究の蓄積があって初めて解決できるものである。筆者はそのような彩色版画研究を推し進めるために、まず17世紀オランダの手彩色版画について、現存作品の全体像を把握し、体系化した上で、様式的特徴を考察する。現在のところ、現存する彩色版画が網羅的にまとめられた研究はないため、この作業によって版画彩色師ごとの様式の違いを示す。さらに文書記録や著述といった同時代の文字史料を検討する。文書記録は簡潔かつ事務的なもので、執筆者の主観が大きく介入する著述に比べると客観的なものである場合が多い。これら性格の異なる文字史料を比較しつつ、現存作品に照らして考察することで、17世紀オランダにおける彩色版画の受容の様態に関する新知見を提示できると考える。そして、これら現存作品と文字史料の検討を通して、一部の優れた版画彩色師による手彩色版画が、購入者にとって単なる代替品にとどまらず、手彩色が施された版画そのものに価値が置かれていたことを明らかにする。したがって本研究は、17世紀オランダの彩色版画の再評価に貢献できる点で意義がある。研 究 者:一橋大学大学院 言語社会研究科 博士後期課程 上 田 あゆみ本研究の目的は、1900年代から1920年代にかけてフランスのジャーナリズムが提示した日本イメージ(画像)の特徴とその変遷を明らかにすることにある。フランスの幻想的な日本イメージは、日本趣味・ジャポニスムに傾倒した人々により生み出されたが、世間の社会的・文化的関心に基づき日本の挿絵を掲載した絵入り新聞もその形成に大きな役割を果たした。絵入り新聞とは挿絵や写真を多用した情報伝達媒体であり、フランスでは『リリュストラシオン』や『ル・モンド・イリュストレ』が代表的である。日仏文化交流史の一次史料として重視され、美術史研究においても引用される(三浦篤『移り棲む美術』、名古屋大学出版会、2021年、他)。また、日本関連記事― 39 ―
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