1)。まだ残っているという感を改めて強くしたことが大きな収穫の一つであった。近年の発掘による新しい出土遺物の個別調査も,早朝や昼の休憩時間に旧知のシリア人考古学者らの協力を得て行うことができた。なかでも,1991年に市壁の修復作業中に出土した(おそらく石材の二次使用と思われる。)墓室内の饗,, 宴の彫像は今まで知られているそれらの像とはかなり異色な点があり,興味深いものがあった(写真この彫像で先ず眼を引くのは左側にある馬の像である。パルミラの墓室内からは,これまでもしばしば体艇がlm程の馬像が出土したのであるが,その多くは盗掘により撹乱された墓の中に放置されていたような状況であったため,従来は墓室内の装飾の一部であろうと考えられていた。しかし,このように墓の中心ともいうべき饗宴の図の彫像の部分を成していたことからみれば,パルミラにおいて馬が非常に特殊な意味をもっていたと認識すべきことであろう。また,石棺の周囲には従者らしき人物が様々な供物を捧げ,さら写真lパルミラ饗宴図彫刻2-3世紀写真2ラクダを曳く女性像写真3フィプラ形装飾紀元前2-1世紀旧ソ連邦クラスノダル地方プリュホヴェッカヤ村古墳群3号墳13号墓1980年出土ヽ-128-`
元のページ ../index.html#135