鹿島美術研究 年報第10号別冊(1993)
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アブストラクト•アート5.おわりにの影響による第一段階と,1930年代後半のH.リードとA.H.バーJr.の抽象美術理論の紹介による第二段階にわかれて展開したと結論できる。本稿では,日本の抽象美術の研究ノートとして,作家と理論(評論)の見取図を概説した。今後,さらにつっこんだ考察の対象として,純粋主義と機械主義の影響についての問題,抽象美術と超現実主義の関係についての問題が残されている。また,美術雑誌を調査するなかで,時代背景や社会状況との関連において,美術動向を考察しなければならないことを改めて確認した。例えば,本稿では触れることができなかった前衛美術と古典(日本美術あるいは東洋美術)の問題についても,侵略戦争と国粋主義の風潮などと関連させながら考察しなければ解決しないように思われる。ピュリスムアブストラクシオン•クレアシオンり,作品が制作されたのであるが,1930年代前半の純粋主義から「抽象=創造」-137-

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