戦国時代以後の新興大名に共通する志向,武家の格式保持に必要な唐物志向,狩野派志向が浅野家の場合にも見られる。漢画は「君憂観左右帳記」に載る画家の作品が収集され,和画は明兆,周文,雪舟,秋月,能阿弥,相阿弥,狩野正信・元信・探幽など一定の基準があったと思われる。そうした大枠の中で大名コレクションは,禄高や家の格,所在地の地方性,歴代藩主の好み,さらにどのようなブレーンが居たかなどが複雑にからみながら形成されたと思われる。その頂点をなす徳川家をはじめ,前田家,黒田家など他大名と比較研究する中で,江戸時代最大のパトロンであった大名のコレクションとその美意識が明らかにされ,この時代の美術史がより鮮明に見えてくるのではなかろうか。国宝伝趙昌「林檎花図」因陀羅「寒山拾得図」重文伝徽宗皇帝「水仙鶉図」伝趙昌「竹晶図」伝夏珪「山水図」「竹林山水図」伝馬遠「寒江独釣図」伝馬麟「梅花小禽図」羅窓「竹鶏図」松田「柘櫂木鼠図」伝宋汝志「雛雀図」。良全「競図」玉梵芳「蘭恵同芳図」雪舟「{方季塘牧牛図」「{方夏珪春景山水図」「{方夏珪冬景山水図」「イ方季塘牧童図」「山水小巻」作者不詳「男会三郎絵詞」「枕草子絵詞」重美伝顔輝「雲房度呂純陽図」伝子昭「張果老図」任月山「繋馬図」伝禅月「羅漢図」頼庵「藻魚図」雪窓「蘭石図」柏子庭「石菖図」雪澗「縄衣文殊図」伝用田「栗鼠図」劉俊「二仙図」(※)「東方朔図」心越「花鳥図」。伝周文「虎渓三笑図」(※)秋月「朝陽図」(※)能阿弥「観音図」「寒山図」「拾得図」若沖「鳳凰図」「孔雀図」元信「囲棋観瀑図屏風」探幽「士農工商図屏風」「酒呑童子絵巻」久隅守景「耕作図屏風」注(※)は所在先不明-153-
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