鹿島美術研究 年報第10号別冊(1993)
18/279

図9神原泰の献辞Bewegung」の「ドイツ代表P.R.ヴァザーリLeitung flir Deutschland/P. R. Vasari, Berlin」と記載された特製封筒を用いていた(故木下秀一郎氏旧蔵の「未来派三科スク1)『未来派の三幕物電気人形』1922年2)『ビーナスの誕生』1922年3)『新しき時代の精神に送る』*1922年4)『芸術の理解』*1924年5)『電気人形』先駆芸術叢書(3)* 1924年6)『新興芸術の蜂火』*1926年"To my dear P.R. V asari, one of the most fearless fighters amongst futurists and one of the great writers of our age. Past was the time for pastists. Now it's the time of futurists. Future will be the time for futurists. Rise up my dear confrere, we are young and the dawn of the new generation will be il-I uminated by us. り強引に結成した「アウグスト・グルッペ」の活動に(マリネッティの名があれば,当然のことであろう)関心をもったからではないかと推測される。また,村山自身は「マヴォ」運動に加担しており,ヴァザーリが使用していた「未来派運動Futuristischeラプブック」)。さて,神原についても,永野と同様に,アルキペンコについてのモノグラフィーを予約する葉書(1923年11月30日づけ)が残されている。しかし,それだけではない。神原は彼の主要な著書をほぼすべてヴァザーリ宛に贈っていたのである。以下の6冊が確認できた(図8'なお*印はヴァザーリヘの献辞があることを示す)。献辞にはいずれも日付がないが,とくに『新しき時代の精神に送る』に記されたものが英語で(他の献辞は仏文ないし伊文)比較的長文であるので,以下で引用する。神原が広く未来派との交流を進めていたことがよくうかがえる(図9)。'Tai Kambara" いかにも神原らしい連帯を呼びかける内容といえ-11-

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る