ヽノヽ込ヽ/ 写真①扇面文着物下絵でいるのではなく常に収集品を身の回りに置いて生活の中で用いていた芹沢だから,これらの物から魂をゆさぶるエネルギーを得てみずからの創造につなげたのではなかったかと思う。収集品の整理を進めると,共通する芸術性が感得できるのである。そして形象的に見ても収集品と作品との関連性を看取することがある。その例をいくつか上げてみよう。紅型のうちくいと鶴亀松竹梅文のれん(写真⑭⑮⑯)祇園守紋旗差物とねじり文壁掛(写真⑰⑱)李朝の民画と文字絵(写真⑲⑳⑪⑫⑳),筒描き三階松に帆船文のれんと三階松文のれん(写真⑳⑮),アフガニスタンの衣裳と甕垂文着物(写真⑳⑰),そして扇面散らし屏風と団扇絵屏風江戸時代の木版の草紙,丹緑本と絵本どんきほうてなどの芹沢の私家本,絵馬(コレクション)と板絵,誰が袖屏風(コレクション)と沖縄みやげ屏風など……芹沢コレクションはそれ自体貰重な文化遺産である。そして,彼の審美眼によって選び抜かれたこれらの品々は芹沢の美意識を解く鍵を握っていると思われる。芹沢の作品と収集品の関連を客観的にみて行く作業をこれからも継続していくつもりである。写真②柳文のれん下絵4 写真③貝文着物下絵-189-ヽr、,..
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