,999烈ガ9ゞ:ょ:,"S,'■ i0k99 9•9mA 応り・9当初は,「曲物の一種ではあるが,曲物とは異なる特殊な技法によるもの」として紹介していたが,先にも述べたごとく,曲物とは完全に異なる技法であり,類品もある程度まとまって発見されているのでその後は「輪積みか巻き上げによる巻胎」という表現で紹介するようになった。その後院外でも同様の素地構造のものがあると言う報告がなされ,同用語による発表もおいおいなされるようになった〔注2〕。それらの一々は〔注3〕に示す通りである。更に今回助成金を得て撮影した個人蔵品中にも数点あることが判明した〔注4〕。三.現状まず,正倉院の宝物中巻胎構造を示すものは先にも述べたが,合子など10点と漆胡瓶1点の合わせて11点である。そして合子など円形の蓋ものは,蓋も身も概して柾目の一枚板を箱の中央に置き,その周りの肩から側板にかけてが薄板で成形されるものである。直径が数拾糎にもなる大型の箱の場合は,中央の平面の板をT型またはH型に継ぎ合わせて,広い面積の底板なり天板を作製し,側板は小型の合子類のときと同様,薄板を5,6枚重ねているのがX線写真で観察することが出来る。ただ箱もので他と大いに異なる一点がある。これは,箱の径に比べて側板が非常に深い深形の被せ蓋造りの箱で,御冠の残欠が納められている漆冠笥である。これは天板と底板の円形板の径が小さく,その天板・底板の外周から側板までの平面部を薄板三十数枚を重ねて成形し,蓋の側板部分は約二糎幅の薄板を少しずつずらせて二十数段で成形している。身の側板は一・八糎幅の薄板を重ねずに巻き上げている。互いに挿図1銀平脱合子と分解模式図挿図2漆胡瓶X線透過写真部分-68 -
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