LAITONG LACQUERWARE(Chiangmai -SANKANMPHAENG ROAD)とKHANKAEW KANTIMA (Ban Sri Pun Kroew Village)という2箇所のエ房で納五花形,六花形,八花形をしており,中央の底板や天板は一枚板かT形•H形に矧いれていないが,正倉院の漆冠笥の蓋天板か身の底板にあたる部分に酷似しており,あるいはその様な器の一部ではないかと想像している。④特殊漆器1個体分(奈良平城宮跡出土)は,長屋王邸跡周辺から発掘された。円弧状を呈する二つの破片で,長さは大が65糎,小が33糎。最大幅約7.5糎厚さが0.45糎であるという。材はカヤで,幅0.2糎,厚さ0.1■0.2糎の薄板が現存部で40条重なるのが確認されている。奈良国立文化財研究所の金子裕之氏は,その大きさや形状から酪(さしば)の一部ではないかと推測されている。⑤宋・元・明代の漆器(盛器等10点)・ポールゲティー美術館,ロスアンジェルス美術館,フリア美術館,アジア・アート美術館,デトロイト芸術協会等収蔵品は,円形,だもの,側板はいずれもCoiledwood strips(細い木片をぐるぐる巻きにしたもの)という解説がつけられている。なお装飾は彩絵のものも含まれるが,堆朱.堆黒のものが多いようである。⑥その他中国の各地出土品にあると言うが,これらについてはX線透過写真等の資料が紹介されていないので目下のところ不明と言わぢるを得ない。四.新資料韓国雁鴨池(アナップチ)の巻胎漆器の調査は,現地まで出向いたが諸般の事情で結局二点の熟覧が許されただけ,しかも一点は曲物,一点は完全に修復されたものの肉眼観察だけに終わったのは誠に残念であった。後者は恐らく巻胎であろうと思われるが,X線透過写真撮影等の希望も聞き入れられず,巻胎であるかどうかの同定も出来なかったので今後の問題として残った。しかし昨年訪れたタイ国では,いま正にこの素地加工による方法で漆工品の生産をしていて,これをつぶさに見学できたのは幸いであった。それは,CHIANGMAI郊外にあるNorthernIndustrial Promotion Center(エ業省)の漆工実験室の棚や机の上に並べられた数々の試作品であった(挿図3)。その時はまだどの様に成形されていくのか具体的には理解出来なかったが,次に訪れた得いくまで見学が出来た。まず,用材の竹はMEIHEI(マィヒヤまたはパィヒヤ)という節間の非常に長い種類の竹で,生育2■ 3年目のものを伐り,枝を払った長いま-70 -
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