鹿島美術研究 年報第11号別冊(1994)
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8)。図3小南海石窟中窟東壁東壁〔図4〕も西壁と同様に,1仏2菩薩立像が配置される。いずれも頭部を欠損する。立像の間に供養者像浮き彫りが配置される。その尊像の上方北側に弥勒説法図浮き彫りが配置される。これは線彫りによって表現される。弥勒説法図浮き彫りには「弥勒為天衆説法時」という題記がつけられる(注一方,その尊像の上方南側に釈迦初転法輪図浮き彫りが配置される。これも線彫りによって表現される。釈迦転法輪図浮き彫りにも題記が付されるが,その内容は解読できない。南壁門口上部には維摩詰図浮き彫りが配置される。これも線彫りによって表現される。維摩詰図浮き彫りには題記がないが,図像からみて維摩・文殊の問答の場面であることに相違ない。天井では,線彫りによって天蓋の文様が表現される。石窟の外側については,窟門の左右両側に力士像が配置される。窟門の門額上部に『方法師鍍石班経記』が,窟門右側に『華巌経偶讃』(注9)と『大般涅槃経聖行品』(注10)がそれぞれ刻まれる。図4小南海石窟中窟西壁-132-

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