図8小南海石窟中窟西壁南側4.九品往生図浮き彫りについて九品往生図浮き彫り〔図6.図7.図8〕は中窟西壁の1仏2菩薩像の上方につくられる。その表現は総じて彫りも浅く,線彫りが中心である。この浮き彫りには,それぞれの図像に対して短冊形の題記11が付されている。そのうちの題記2つについてはまったく解読が不可能であるが,残りの9つについては「上品住生」など解読が可能である。そこで,これらの題記にしたがい,『観無量舟経』と対照しながら,それぞれの図像について,北側から南側へ順に記述していこうと思う。図6小南海石窟中窟西壁北側九品往生図浮き彫りまず全体をみわたすと,リボン状の線が仏立像光背の左右両側からそれぞれ斜め下方に向けて表される。この線は陸水の境界を表現する。境界線の上方に宝樹が配置されることからみて,境界の上方が陸地であることがわかる。一方,蓮華はいずれも下方より境界線を越えてのびてきていることから,境界の下部が宝池であることがわかる。九品往生図浮き彫り図7小南海石窟中窟西壁中央九品往生図浮き彫り-134-
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