クラウズラヴィータディサンティクラウズラクラウズラ② 修道院禁域内の「聖人伝説図」研究ーー15世紀トスカーナ托鉢修道会修道院を中心に研究者：シエナ大学大学院正富りかイタリア1400年代前半アウグスティヌス会など托鉢修道会修道院の禁域内に描かれた壁画装飾に焦点をあてて，修道院芸術の価値，意義を検討する。トスカーナに存在した無名の修道僧画家の活動を特に注目していきたい。そして，修道士によって修道士のために描かれた絵画表現の特殊性を探っていく。現在筆者は以下の禁域内（修道士にのみ出入りが許可された回廊，旧食堂など）に制作された壁画サイクルの図像選択，技法，主題についての分析を進めている。1 シエナ，アウグスティヌス会，レッチェート修道院（回廊）ウス伝；2 シエナ，アウグスティヌス会，サンタ・マルタ（回廊）＿諸聖人及び隠修士伝；3 シエナ，ベネディクト会修道院，サン・タンティモ（食堂）ウス伝；4 フィレンツェ，ヴァッロンブローザ会修道院（回廊及び回廊内礼拝堂）一一＿聖人伝分析方法としては，A選択された各聖人伝の主題について，出典と考えられる各テキストと対比しながら板絵を含めた同時代の他の作品と比較B 描かれた手法に共通する特殊性(a人物のグリザイユ表現b 色数の限定C 各場面の二段の枠による分割）について考察C 作者の明確でないこれらの作品について様式考察-—以上を試みる。これらの一連の研究は1991年より手掛け始め上述の作例1（レッチェート）については既に研究成果を『美術史』（美術史学会）131号に発表したが，それ以外の三作品については何れも国内で初紹介するものである。1995年にはシエナ大学大学院にこれらを総括した研究論文を提出する予定である。今年度(1993-1994年）は貴鹿島美術財団のご援助を受け，特にシエナ，サンタ・マルタの壁画について調査を行うことができた。よってこの報告においては紙幅の都合もあり，サンタ・マルタの作品をより詳細に述べることにし，作例3,4（サン・タンティモ，サン・サルヴィ）については，調査状況を簡単に述べるに留め，次回の課題として残し，この報告を終えることにする。聖ベネディクト聖ベネディクト-9-
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