r、径20cm強の,腰のやや張った端反りの鉢である。薄手に作られているが,少し歪み⑨藤田美術館蔵列仙図鉢⑫藤田美術館蔵列仙図鉢「陳文盟造」銘高台「陳文並造」銘がある。薄く高い真直ぐな高台で,畳付きのみ露胎である。高台内一重円圏に「陳文晃造」とある。書体は⑦⑧に近い。内側面に宝相華唐草文,見込みに⑦⑧外側面の牡丹文,外側面には9人の仙人が描かれている。内側面の宝相華唐草文は花弁を濃淡の赤で,葉を赤と緑で塗り分けている。また見込み牡丹文も濃淡の赤・黄・緑を使った細かな配色である。⑦〜⑨の年代は容易に決め難い。「陳文歴」についてはかつて『景徳鎮陶充史稿』において成化,弘治年間の人と説明されたが,その根拠は明らかでない。③の「陳守貴」の他,陶工名らしきものは「陳守劉」「何玉済」など,古赤絵に限って数多く記されているが,現在のところ,その理由は不明であり,年代の手掛りとならないのは残念である。⑨の内側面に見られる宝相華唐草文は⑦〜⑨を含む,唐草文主体の古赤絵盤には頻繁に見られる。この唐草に鳳凰や獅子を絡ませた文様は見込みの主文にもなる。この宝相華唐草文は②のそれが簡略化され,平板な表現となったものであるが,この平板な宝相華唐草文及び鳳凰唐草文は1500年前後と考えられている輸出青花や弘治・正徳年間の官窯青花によく使われた文様である。このことから,⑦〜⑨は正徳年間頃の作と考えたい。⑬藤田美術館蔵列仙図鉢裏面「陳文盟造」銘ヽノ-182-
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