鹿島美術研究 年報第11号別冊(1994)
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従来,漠然と嘉靖頃の民窯の五彩であるとされていた「古赤絵」を,様式上の特徴に従ってグループにまとめ,その年代を検討した。この度の調査の成果を加えた更に詳細な考察を『美術史論叢』10「明代の古赤絵について」(研究紀要:東京大学文学部美術史研究室,1994)にまとめてある。今後に残されている課題は多い。15肌紀中葉と16世紀初頭の様相は今回の報告では十分に把握できていない。また,ここで示した各グループの相互のつながりも今後の課題である。また,今回の調査の間に,「古赤絵」以外の金襴手や呉須赤絵,官窯五彩等を実見する機会があった。これらが「古赤絵」とどこかで連なっており,その関係を検討することで,各々の様式的特質や年代を明らかにすることも可能ではないかと感じている。⑭東京国立博物館蔵赤絵蓮池水禽図盤「福」字銘陰刻「大明嘉靖年製」銘-184-

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