鹿島美術研究 年報第11号別冊(1994)
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ヽ/ ヽノヽヽノ図1主な出土銅製品/ cmX18.4cm)が出土している。いずれも鍛造の銅板が用いられているためか,地金は不純物としてのヒ素を含むものの,スズ,鉛などを添加しない銅を使用している。く法住寺殿最勝光院井戸址出土遺物〉東山七条の法住寺殿の付近にあった最勝光院は1225年と1301年に焼亡している。その井戸址からは最勝光院で用いられたと考えられる加熱を受けた痕跡を示す飾り金具,f嬰塔,帖角金具などが出土している。〔図1-2 • 3〕にそこから出土した遺品の一部を示す。被熱のため肉眼観察では本来の色がよくわからないが,分析により顕著な金と銀が検出されるものがある。滋賀神明寺の金銀鍍宝相華透彫華籠に代表されるような金銀鍍金の技法ーすなわち銅地に金鍍金を施しその上に銀鍍金を施す技法ーによるものと推定している。地金は銅に鉛を添加したものが用いられる場合が多く,正倉院にある国産銅製品とはこの点で顕著な違いを示す。1 鳥羽離宮勝光明院出土孔雀形金具3 法住寺殿最勝光院出土銅製品2 法住寺殿最勝光院出土銅製品4 弁天島経塚出土銅製品\ノ-306-’‘

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