鹿島美術研究 年報第11号別冊(1994)
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ヽ~Cタイプ〔図3〕については①「元」字の「)し」が平行斜線となる以外はB印の特ヽノヽヽノヽヽヽノ図2B印ヽr 耳のきぎみが少ない③把手が左方に傾く④首の部分の横線が等間隔⑤「元」字の「JL」がコ字を立てた形をなす点などが挙げられている。それらに加えて,「信」字の「言」が印のほぼ中心に位置する点も指摘しておきたい。徴を備えたものとされている。加えて,「信J字の「イ」が左方にかなり大きく片寄って刻されている点や,A・B印に比して縦寸法がわずかに小さい点(A・B印は約24ミリ,C印は23ミリ)もその特徴として挙げておこう。以上が辻氏の掲げる韮準印であるが,これらと同等に扱って差し支えないと思われる2印を次に提示してみたい。ひとつは辻氏がA印に似ながらも異なるとされ,A'グループとして包括されている印であって,後でその印を捺す作品名を列挙するが,その使用頻度はけっして低くない。仮にDタイプ〔図4〕としてA印との違いを述べると,首の部分の横線の間隔は上の方が広いものの,A印ほど極端な差がない点,また把手の縦の輪郭線が口の上の線で止まっている点などが挙げられる。その違いを除けば,確かに辻氏のいわれるようにA印と似かよった特徴を有しているといえよう。もうひとつはかなり縦長の印であって,ここではEタイプ〔図5〕と呼ぼう。刻字の特徴はC印と共通する点が多いが,全体の形が縦長で,またその縦寸法が元信朱文壺形印の中で最大の27ミリを有している点をその違いとして挙げることができる。図1A印図4D印/ 図5E印図3C印r -364-

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