れる。組み合せて描き,左にも第三に関わる内容を描いて添える。d“三の物”それぞれをばらばらに配するのではなく,右側に組み合せて描き,統一的な構図をとる。“三の物”までばかりでなく,四句目までも下絵に組み合せて描く場合がある。それでは,以上のa■dの対応の情態を具体的な例を挙げて解説していくことにする。まずaにあたるのは,⑮のセットの第六,賦二字返音連歌の初折表,⑲⑫などである。例えば⑫では,初折表に右から橋板の朽ちた反り橋,月,雨,雲,山などへ左に向けて並べて描いている。これに対応する連歌は,す>しさをた、橋板のとたえ哉ゆふたちの雲はいり江の峯こへて心前となる。このように“三の物”の進行と対応する素材が進行方向に沿って並列的に描かれるタイプは最も基本的な構成といえよう。次にbに対応するのは,⑭である。⑭の初折表には右から下向きに枝を傾ける柳・御簾のかかった館・月・雨が描かれている。対する連歌は,朝な/\たち枝かたふく柳哉かすみにか、るこすのとの露ゆく月に春雨そ><雲口てとあり,逐語的に下絵が描かれている。柳の木に囲まれた館を右側に配して,発句と脇句の内容を組み合せたのは,館というモティーフを構図の要としたためとも考えらCの構成はbの構成の発句=脇句の組み合せを変形させて,脇句と第三を組み合せたものである。例えば⑯では,初折表に右から月・三頭の鹿・雲・遠山が右寄せ構図で大観的に表わされている。これに対する連歌は,朝霧に峯もたひらの硼かな月かすかにも見ゆる山もとをしか鳴道のロロ野をかけて行祐となり,右側に月と鹿を組み合せて描いているのは,脇句と第三を合せたものである。勝長紹巴= (御簾の外)藤孝紹巴宥源-431-紹巴昭綱..... 水にうつろふ夏の夜の月....
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