linum)。ポンペイ第一様式のこの例に関しては次項で後述する。VI.組積造り様式タイプ:全体に建築的壁面分割がなされる。建築的な層は刻線ないVII.多数覆帯タイプ:大変拡張され装飾化された覆帯[フリーズ層]をもつ。タイプVIと壁面構造は同じであるが,装飾形態による壁面分割が多いため基礎となる壁体構である(注4)。どちらの住宅もマケドニア地方に位置し前2世紀頃に年代比定されている。ペラの例は,下から約10cmのキュマティオン・大理石模様のパネルから成る層・刻線によって矩形の示された黒い層と細い白い層・張出パネルの層・大理石模様のパネル層・コーニスが配される。ポンペイ第一様式では蹴板の上に低い腰羽目が配され帯状層を伴わずに主要部が配される例がある(6.2.4,Casa di Sallustio, atrium, tab-アンフィポリスの例は,細くて浅い刻線によって壁面を分割し,平面化しており,第二様式装飾と捉えられている。下から約80cmの腰羽目・細い帯状層・主腰部・細い帯状層(注5)• 3層の切石積み上部・コーニスが配され,2本の角柱が壁の間に(主腰部の1枚のオルトスタテスを左右に分割して),また隅には遠近的に表わされた角柱か配される。中央に配されたオルトスタテスは中に菱形パネルが表わされる。この壁面装飾は組積造り様式の立体装飾の上に施されているという。この水平分割はまさにポンペイ第一様式の標準的な壁面分割法である。したがって,この分割法はポンペイ第一様式の特徴であるには違いないが,決してギリシアにはなかったというわけではないことが確認される。なおアンフィポリスの例は菱形を内接したオルトスタテスを表現しておりポンペイ秘儀荘アトリウムの装飾と大変よく似ている。浅い刻線で分割を行ない平面化している点で第二様式に近い。またオルトスタテスを分割してそびえる柱はポンペイ第二様式によく見られる要素であるが,一方ポンペイ第一様式には見られない。次に,Andreouのギリシア壁面装飾8タイプにおける組積造り様式とポンペイ第一様式との関係を考察してみる。彼の分類で組積造り様式が関係してくるのはVI・VII・VIIIの3タイプである。しは立体的仕上げによる。標準的壁面構造は,幅木・オルトスタテス部[主腰部:筆者].覆帯[フリーズ層]・切石積みシステム・冠帯である。圧倒的に住宅だが時として墓にも用いられる。前5-1世紀。造が後退している。覆帯は常に複数である。住宅のみに用いられる。少なくとも前2--49-
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