@ 腰羽目・上部タイプdi Giulio Polibio, Casa Sannitica)やクピクルム(1.15.1/3Casa della Nave Europa, IV, Casa di Sallustio, 15)に片蓋柱による列柱が見られる。Laidlawはカタログの中で44点の第一様式装飾を復原している。また1993年にはコリカの装飾も同様である。冠帯上に柱が追加される例もアトリウム(9.13.1/3,Casa 腰羽目・全体の壁面分割に関するギリシアの組積造り様式とイタリアのポンペイ第一様式との比較では,それぞれの特徴というものはあっても共通して見られる例があることが確認された。つまりそれぞれの装飾法は同一文化を共有していたことが再確認された。またポンペイ第一様式だけの特徴としていわれていた腰羽目は組積造り様式においても同様の壁面分割の一要素として存在するものがあること,丈の高い幅木も存在することが確認された。3)ポンペイ第一様式の腰羽目ギリシアの組積造り様式壁面装飾にも同様に扱われている例があるとはいえ,腰羽目がイタリアのポンペイ第一様式の特徴であることに違いはない。ここではその腰羽目に焦点を絞ってみたい。ギリシアの組積造り様式とイタリアのポンペイ第一様式との比較において腰羽目が例に挙げられるのは前述の通りである。その際に組積造り様式は現実の壁体構築法に従った壁面分割を採用していたのに対し,ポンペイ第一様式では腰羽目を導入したことによって「説明されることのない空所」(Bruno)あるいは「中性的な」(Andreou)存在が生まれたと指摘される。ではこの腰羽目は古代においてどのように捉えられていたのか,現存する作品例からその痕跡を探ることを試みるのがこの項の目的である。ーサの住宅TheHouse of the Skeleton, tablinum 19の壁面装飾も復原された。そのうち折衷形式で壁面上方に小列柱の施されたCasadi Sallustio, cubiculum 15を除いては腰羽目が存在している。これらを腰羽目とその上に配される水平分割要素との観点から見ると大きく3つに分類される。① 腰羽目・帯状層タイプ(図1〕② 腰羽目・主腰部(腰羽目直上帯状層欠如)タイプこれにそれぞれ蹴板が配される場合と配されない場合とがある。腰羽目・帯状層タイプは最も標準的で例数が多い。腰羽目直上帯状層の上には主要-51-
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