4 革命期寓意画におけるウエッジ・ウッド(ジャスパー・ウエアー)の重要性ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート美術館で,18世紀末のウエッジ・ウッドのジャスパー・ウエアーの円盤に,天秤と剣を手にした「正義」の女像[図6]が表現されているのを見つけた。天秤と剣を手にした「正義」の女像は,リーパ流の図像学の定石だが,革命期にも登場する。パリのカルナヴァレ美術館にも同様のウエッジ・ウッドで,「自由」と「平等」が並んで立っているものや,猫を刻んだ台座にフリジア帽と頸木を持って座る「自由」[図7]など興味深いものがある。灰青色の地に白くくっきりと浮き出たカメオ状の寓意像は,古代の浮き彫り彫刻を好む新古典主義の美学に適い,革命期寓意画の恰好の素材であったと思われる。革命期の寓意画か,美術工芸の巾広い分野で取り入れられ,イギリスにも少なからず影響していたことがわヵしったのである。図6ジャスパー・ウエアー《正義》ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館図7ジャスパー・ウエアー《自由》カルナヴァレ美術館-157-
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