し,狩野元信は,従来指摘されている高階隆兼様式絵巻だけではなく,慕帰絵詞およびそれを補作した掃部助藤原久信との接触・学習を経た上で,それらの模倣にとどまらず,斜め構図の多用や抑揚のある線描により安定感のある独自の絵巻様式を創造したのではないだろうか。以上をもって,可能性の提示に終始した本論を終えたい。-169-
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