鹿島美術研究 年報第12号別冊(1995)
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ウンガB2)個人所蔵品のコレクションと共にシチェスのカウ・フェラット美術館(Museudel Cau Ferrat, Sitges)に保存されている。恐らく1888年及び1892-1899年にパリに居た頃に入手したと思われるが,その頃の彼の作品の背景に日本風のモチーフが描かれていることからもう少し前である可能性もある。カタルーニャ図書館(Bibliotecade Catalunya)には,画家マリウス・ベルダゲル原国周の12枚の役者絵が保存されている。彼のコレクションだったもののうち2枚が,私蔵されている。図書館には,10冊の本もありそのうち昨年の夏カタルーニャ州政府から寄贈された4冊もあるが,雲峨のものも1冊含まれている。政治家で,劇作家及び歴史家のビクトル・バラゲル・シレラ(VictorBalaguer Cirera, 明治時代の何冊かの本,武具などを持っていた。妻の死後,相続人がなかったために,ビラノバ・イ・ラ・ヘルトゥル市にコレクションを寄贈しビクトル・バラゲル美術図書館(Biblioteca-MuseuVictor Balaguer, Vilanova y la Geltru)が設立された。スペクタクル・アート美術館(Museude les Arts de l'Espectacle)には舞踏家カルメン・トルトラ・バレンシア(CarmenTortola Valencia, 1882-1955)のコレクションであった歌川国貞の2枚の役者絵を含む3枚の浮世絵版画がある。るが,浮世絵版画のコレクターがいた。多くは当時当市の基幹産業であった織物工業に関係する家であった。文書で残ってはいないが,その多くは,バルセロナの店で入手されたものであろう。同じく,オロット市のバトロ(Batll6)家のような商人たちは恐らく商売で19世紀末フィリピンを訪れそこで日本の美術品を入手したのであろう。20冊の本の中に1878年のほぼ完全な「北斎漫画」や北斎のその他の本があり,現在はオロットのバイレダ図書館(BibliotecaVayreda, Olot)に保存されている。この図書館の文書によれば,が保存されている。(Marius Verdaguer, 1885-1963)のコレクションだった素晴らしい歌川国貞及び豊1824-1901)は振興海外大臣でもあり美術品の収集家で,いくつかの国貞の源氏絵や19世紀末から20世紀初めのバルセロナの中産階級の中には2■ 5枚と小規模ではあ1910年頃に入手されたものである。オロットのラ・ロシャ地方美術館(MuseuComarcal de la Garrotxa, Olot)に,このコレクションの一部であった武具,武器のいくつかB3)紛失したコレクション-204-

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