2枚の写楽の作品はある。額に入っているため直接調べられないものの美術館のカタち4枚が国貞,2枚が延ーのものである。個人のコレクションで最も重要なものはサラコサにある200以上の浮世絵版画と同数の本から成るものである。これらの本は,浮世絵派の作品のみならず江戸時代のさまぎまな絵画の流派の作品が載っており,しかも浮世絵もスペインではめずらしい初期の絵師のものがあることで大変興味深いものである。このコレクションは1945年頃からアストゥリアス地方のヒホンで版画を購入し始めたことに始まるが,後にパリの店で直接買ったものが殆どである。僅かではあるが,ロンドンやスイス又マドリッドのォークションで入手されたものもある。質量共にこのコレクションはスペインにある最良で代表的なコレクションのひとつと言えよう。武器,根付,陶磁器,扇子などの数多くの日本のものや極東芸術の本なども多く含まれている。浮世絵については,他のスペインに見られるコレクション同様19世紀の作品が多く主に幕末や明治のものが中心であるか,時代を遡った作品も,浮世絵の初期の流派を除いてであるが,見られる。しかし浮世絵の初期の流派の作品は本のコレクションには見られる。反対に歌川派は,一代目豊国から19世紀の最後の頃の絵師である国貞,国芳,国周に至るまでの作品が見られる。又北斎や広重の版画や本もあり,中には幾つかの刷物も見られる。アストゥリアス地方ヒホンのホベジャノス美術館(MuseoJovellanos, Gij6n)に版画が保管されている。これは,長いアメリカ滞在中ニューヨーク大学で教鞭をとっていた頃氏と共に仕事をしていたユガリヤスミ博士が個人的プレゼントとしてオチョア氏に贈ったものである。「カルメン並びにセベロ・オチョア」からの寄贈品展示室にログには本物であるとの記載がある。これか事実であるならば,スペインでは唯一ここに写楽の本物があるということになる。その他,幾つかの町に小規模なコレクションがあるということが分かった。例えばマヌエル・デ・ファージャ記念館(MuseoManuel de Falla)には2枚の版画があり,ラ・コルーニャ美術館(Museode Bellas Artes de La Corui'ia)には明治の本が1冊,セビリアにある日本イエズス会の博物館に6枚の版画が保存されており,そのうE)その他のコレクション(Otrascolecciones) 1959年ノーベル医学賞を受賞し昨年亡くなったセベロ・オチョア氏が寄贈した2枚の-208-
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