45度に開くものが多い。「晩唐」になると玉璧底唇口碗と呼ばれる碗が現れる。浸し掛① 白磁碗片(図1の左下)1980年澗磁村窯址採集,故宮博物院蔵② 白磁三耳壷(図2)3.唐の定窯の資料料として,前章に述べた三支釘を用いて焼成された粗白磁碗について,胎はかなり粗で灰黄色を呈するものが多いが,色の比較的白い粗磁もあることを付け加えている。また,釉薬は,白釉・黄釉・褐緑釉があるとのことである。唐の「中・晩期」になると,白磁の数量が増加し,主な器種としては,碗.盤・瓶・罐.鉢・三足炉・注壷.唾壷・小玩具がある。この時期の粗磁の胎はかなり粗く,灰白色を呈するが,白磁の胎は純白・緻密で,かなり高水準に達している。館蔵の獣形の把手が付いた小注壷や略陀は典型的なこの時期の資料である。碗は平底から発展した玉璧底となり,碗身はけの施釉法が行われるようになり,外面の釉薬は中程まで掛かり,釉面は重厚であり,わずかに青味を帯びる。釉の厚い所は豆緑色か淡い天藍色を帯びることが多いので,“青白磁”と呼んでもよい程である。以上のような記述がある。今回の調査で実見できた資料の一部を以下に紹介する。写真の撮影がかなわなかったものは,同種の資料の写真かスケッチで代用している。定州市博物館蔵のものについては,同館は,すべて定窯の製品であるとしている。これと同種の粗白磁を,定州市博物館でも曲陽県文物保管処でも見ることができた。2章と3章に頻出する「唐早期」の定窯を代表する資料である。胎は粗で灰色を呈する。平底で高台の角は面取りされている。内面と外面の中程まで口縁辺りまで白化粧を施し,内面と外面の口縁あたりまで白釉を掛け,外面の大部分には黄緑釉を掛ける。胎に直接黄緑釉が掛かった部分は濃褐色となる。定州市博物館蔵征集品(定州市周辺で農民が採集したものという)。窯址からも同種の資料が出土しているとのことである。胎はかなり細かく灰白色であるが,こげた部分は褐色を呈する。耳の辺りに一重,肩の下に二重,腹部に二重の凹線の弦文がある。腹部の弦文の1まで白化粧を施し,同じ辺りまで濁り気味で淡褐色を帯びた釉薬が掛かる。同館では,「唐代初期」の年代を与えているが,隋の可能性もあると思われる。-247-
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