鹿島美術研究 年報第12号別冊(1995)
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「ロカビリ一族」である。アンフォルメル,あるいはアクション・ペインティングは,これらの作家の自身の行動,行為に目を向けさせた。生活と切り離された芸術ではなく,生活と直結した行為から芸術が生まれるという考えの浸透であり,その展開である。彼等は,アメリカのネオ・ダダの作家に対し,自分達と同じ世代の作家として共感を示し,同じ生活文化物を利用した作品に強く反応する。これらの作家が1960年に結成した「ネオ・ダダイズム・オルガナイザー」というグループ名も,アメリカのネオ・ダダからきている。しかし,1957年の読売アンデパンダンにおいてジャンク・アート的な作品がすでに出品されており,必ずしもアメリカのネオ・ダダからそのまま影響を受けたとはいえない面もある。ここに,同時代的な動きとして見ることが可能である。様々な点で,これ以後,アメリカから多大な影響を受けるにしても,その根底には,碁盤としての共通性があったことは指摘されなければならない。60年代末に日本ないし東洋の美術の独自性を強調する動きが高まるが,それが生じるには,この時期以降のアメリカ美術の受容とその基盤の共有があったといえるのである。-273-

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