12)との関係が注目される。山岳文の麓の部分に表された葉が花のように花弁状に広鉦が似ている)を持つ一方で,狩猟文や山岳文や花丼文など新しい文様要素もある。狩銀板の向かい合う二羽の鳥の間と左右に表された花丼文と泉稜鏡の外区にたった2本表された花丼文が両鏡の関係をより密接なものにしている。ところで,銀器に頻出する花丼文のある銀貼鏡はこの2鏡のみである。さて,メインの狩猟文であるが,右廻りにめぐる馬上の狩人が前を狙いあるいはパルティアン・ショットで鹿,山羊,兎,猪を狩る様が生き生きと打ち出されている。狩猟文は鋳造鏡にも知られているが,銀器に表されたものがよく知られている。すなわち,西安市沙破村出土の「狩猟喬木高足銀杯」,西安市南郊何家村出土の「狩猟文高足銀杯」,「仕女狩猟文八弁銀杯」,大英博物館の「銀製狩猟文杯」そして狩六杯である。ただ,これら狩猟文銀杯に関しては,白鶴美術館の銀杯以外は未だ調査する機会に恵まれていないので,先後関係などは保留とせざるを得なかった。しかし,花丼文と狩猟文によってこの狩銀板が銀器と密接な関係にあることだけは判明した。ところで,図版の観察からすれば,4鏡と同様に打ち出し技術は最高で,馬や逃げる動物の脚の一部や花弁文の茎などが,4鏡の1愛祝の脚や蔓の一部が地の部分から浮き上がって作られているのと同じ技法で作られている。同じ技法は泉稜鏡にも認められ,これによって海獣葡萄鏡の流れを引く海獣唐草文と,旋回する唐草文の間に2禽2獣を配する文様,ならびに狩猟文の銀貼鏡が,同時平行で制作が進められていた可能性が出て来る。山岳文に目を向けると,泉花鏡(図かり,蒼を付けた茎か2本V字形に表された様子が両鏡に共通している。この八花鏡の半球鉦は4つの対葉文が向かい合うおなじみの文様で,連珠による円形の鉦座も表されている。外縁帯の文様は泉稜鏡,五銀鏡,フ銀鏡のそれと同じである。なお,泉泉花鏡(図12)-287-
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