鹿島美術研究 年報第12号別冊(1995)
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合わせを,生と死のシンボルとする解釈もある(注5)。熾天使は最も位の高い天使でありキリストの周りを囲んでいる図像も多く,聖所としてのアプシスのそばに置かれることも多い。これが四枚の翼の智天使だとしても,エデンの園の守護者としてこの場所に置かれているのであろう。右持送りの盃はキリストの血を暗示する聖杯で,祭壇で行なわれる聖体拝受の典礼を暗示するのだろう。植物のモティーフのほか動物の描かれている柱頭も数多いが,これらも尾か植物のようになっていたり,動物の下に植物が描かれていたり,あるいは植物紋様の間に人間あるいは動物から植物が生え出すグリーンマンが描かれていたり,植物の暗示がいたるところにある(注6)。ロメー図14ロメーナ,サン・ピエトロ聖堂図15ロメーナ,サン・ピエトロ聖堂右持送り左持送りケルヒ‘ム-342-

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