唐代に樹木に明かりを灯す風習があったとされるが,飾りをつけた樹木文を立てて,その両側にササンのリボンをつけた羊文を配するこの錦は,ペルシア錦と紹介されたことがある。しかし,図版の下辺に細い無地の色の帯(織耳)があって,これによって正しく経糸の色で模様が作られる中国の経錦と見倣すことができる。その経糸の方向を縦にして見た場合,模様は横向きとなり,対の形は緯糸を軸にして上下に打ち返しになる。このような模様の出し方は中国紋織の特徴であるが,それが顕著に現れてくるのが六朝経錦である。それは次の参考図にみる早い時代(6世紀)のササン錦からの影響ではないかとみている。図1燈樹対羊文錦く72TAM186:24〉・経錦・高昌時代・アスターナ出土・新腫博物館―-37 -*矢印の方向は経糸の方向を示す<: ::,-
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