品1,7, 10, 25, 30, 32, 38),波濤龍丸文二紙(作品3,28)の三種があり,他は22),水辺山二紙(作品5,27),群鶴二紙(作品26,33),蜻蛉二紙(作品2,34), 36.4cmの料紙には,図様の2/3ほどしか刷り出せない。このため,同じ図様であっ24, 35)では表紙に図様の華やかな部分かくるように,左右を入れ替えている。左右木版雲母刷料紙の図様には,十二種が認められる。地模様に主となる模様を配した連続模様的図様に,雷文蔓牡丹文四紙(作品16,18, 31, 37),菱雷文蔓牡丹文七紙(作対象を大きく捉えて表現する絵画的図様である。使用頻度順に並べれば次のようになる。薄下草八紙(作品2,15, 19, 20, 23, 24, 29, 35),籠花三紙(作品4,11, 14), 枝付太竹三紙(作品8,13, 21),藤三紙(作品6,9, 36),雌日芝二紙(作品17,松山満月一紙(作品12)。合計三十九紙となるのは,作品2に二種の図様が刷られることによる。十二種の図様のうち,薄下草,籠花,雌日芝,枝付太竹,藤,群鶴,蜻蛉,松山満月の八種が「後藤本」にも使用されており,両者はかなり近い関係にあると言える。しかし,木版雲母刷料紙の図様は約35.0 x 50. 0cmの寸法が予想され,約24.0Xても,刷り出される部分によって趣が異なる。枝付太竹や饉花,松山満月,群鶴では,わずかな図様のずれや部分的に図様が省略される相違点はあるものの,刷り出される部分は「後藤本」とほは等しい。雌日芝は,元来,蝶と組み合わせた蝶雌日芝の図様の蝶を省略した図様であるが,雌H芝のみを刷り出した料紙は,「後藤本」にも認められる。大きな相違が表れているのは,薄下草,藤,蜻蛉の三図様である。「後藤本」の薄下草では,それぞれ薄と下草のいずれかを中心に刷り,その際,図様の一部を省略している。一方,「謡本百番本」では,八紙の全てを薄を中心に刷り,下草の図様は省略していない。ただ,薄は裏表紙にあたる右に図様が集まるため,四紙(作品15,20, を入れ替えずに刷り出す場合においても,大きく空いた左上部に,蜻蛉を部分刷りした料紙(作品2)がある。次に,藤(作品6,9, 36)では「後藤本」との相違はより明らかである。図様の右側に,「後藤本」には見られない二房の花が垂れる藤蔓が刷られている(挿図1)。おそらく「後藤本」では,刷り出す図様の統一性を重視し,常にこの部分を省略しているのだろう。以前,藤の版木に関して,謡本の寸法に応じて制作されたのではないかという意見を述べたことがあるが(注2)'この「謡本百番本」によって,少くとも当初は他の版木と同様の寸法で制作された可能性が高くなった。ここに訂正しておく。版木本来の図様が窺える点では,蜻蛉も同様である。二紙のうちの一紙は前に述べた通り,薄下草とともに部分刷りされているが,もう一紙(作品-484-
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